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COLUMN | 2022.3.15

単利と複利

以前、こちらの記事「資産運用のすすめ(1)確実な方法」で、資産運用の基本は確実な方法と不確実な方法の組合せであり、確実な方法の代表として銀行預金についてご紹介しました。この記事では、銀行にお金を預けた場合にどのように利息を受け取れるかについて解説します。 

100万円を安全な銀行に1年間預ける場合 

みなさんのお手元に、100万円あるとしましょう。このお金は当分使う予定はありません。とはいえ、株式を購入するといった元本が割れる(お金が100万円よりも減ってしまう)リスクも取りたくはありません。とりあえず、数年間は銀行に預けることに決めました(安全な銀行なのでみなさんの100万円が目減りすることはないとします)。 

なお、実際には、預金保険制度により、当座預金や利息の付かない普通預金等(決済用預金)は、全額保護されます。一方、定期預金や利息の付く普通預金等(一般預金等)は、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されますが、それを超える部分は、破綻した金融機関の残余財産の状況に応じて支払われるため、一部支払われない可能性があります。

金融庁:預金保険制度( https://www.fsa.go.jp/policy/payoff/

お金を銀行に預けると利息がもらえます。ここでは、金利は5%であるとしましょう。なお、私たちが利用する普通預金や定期預金に適用される金利は、パーセント(%)で表されますが、特にことわりがなければ、「1年あたり」の利率を表すことになっています。また、お金(元本)を1年間預けた場合に、1年後にもらえる利息は元本×金利で計算することができます。 
このケースだと、\(100万円(元本)×5\%(金利)=5万円(利息)\)となります。つまり、1年後には、\(100万円(元本)+5万円(利息)=105万円\)が皆さんの手元に返ってくるわけです(話を単純化するために、ここでは税金は無視してお話します)。
少し表現を変えると、銀行に1年間預けることで、1年後みなさんの資産は、\(100万円×(1+5\%)\)になります。 

さて、100万円を105万円に増やすことができたわけですが、やはり使い道がないので、もう1年間銀行に預けることにしました。大きく分けて、①元本(100万円)だけ預ける、②元本(100万円)+利息(5万円)の元利合計(105万円)を預ける、の2通りの預け方が存在します。それぞれ名前がついておりまして、前者を単利運用、後者を複利運用と言います。順番に説明します。

単利(元本だけを預ける方法)

今、手元には元本(100万円)と利息(5万円)の元利合計(105万円)があるわけですが、単利運用の場合は、当初の元本の100万円だけをもう1年間預けます。このため、1年後には、\(100万円(元本)+5万円(利息)=105万円\)が皆さんの手元に返ってくるわけです。
1年前にもらった利息(5万円)と合わせると、\(元本(100万円)+1年目の利息(5万円)+2年目の利息(5万円)= 110万円\)が手元にあると思います。
少し表現を変えると、銀行に2年間預けることで、1年後みなさんの資産は、\(100万円×(1+5\%×2)=110万円\)になります。

同じように単利で20年間にわたり、銀行に預けると、最終的には、資産は\(100万円×(1+5\%×20)=200万円\)となります。単利運用の場合は、20年間預けると、元本の100万円が2倍の200万円になりました。この間の資産の増え方は下の表のようになります。

預入期間利息利息の合計元利合計
1年5万円5万円105万円
2年5万円10万円110万円
3年5万円15万円115万円
4年5万円20万円120万円
5年5万円25万円125万円
6年5万円30万円130万円
7年5万円35万円135万円
8年5万円40万円140万円
9年5万円45万円145万円
10年5万円50万円150万円
11年5万円55万円155万円
12年5万円60万円160万円
13年5万円65万円165万円
14年5万円70万円170万円
15年5万円75万円175万円
16年5万円80万円180万円
17年5万円85万円185万円
18年5万円90万円190万円
19年5万円95万円195万円
20年5万円100万円200万円
元本100万円を金利5%で単利運用した場合

毎年、銀行に預け入れる金額は100万円で一定なので、1年間分の利息5万円を20回受け取ることになります。そのため、20年後に資産は、\(100万円×(1+5\%×20)=200万円\)となるわけですね。

最後に、以上の話を少しだけ一般化しておきましょう。

元本\(A\)を金利\(r\%\)で単利で\(n\)年間銀行に預けた場合、\(n\)年後の資産は
$$A(1+r\%×n)$$
となります。

複利(元利合計<元本+利息>を預ける方法)

さて、いよいよ複利について説明します。単利と比べて少し難しいですが、ぜひお付き合いください。

まず、1年後には、手元には元本(100万円)と利息(5万円)の元利合計(105万円)あります。ここまでは、単利運用の場合と同じです。ただし、2年目以降、違いが出てきます。複利運用の場合は、当初の元本の100万円だけでなく利息の5万円ももう1年間預けるのです。つまり、元本が100万円から105万円に増加することになります。すると、1年後には、\(105万円(元本)+105万円×5\%(利息)=110.25万円\)が皆さんの手元に返ってくるわけです。
少し表現を変えると、銀行に2年間預けることで、みなさんの資産は、\(105万円×(1+5\%)=110.25万円\)になります。\(105万円=100万円×(1+5\%)\)と書けることに注意すると、\(100万円×(1+5\%)×(1+5\%)=100万円×(1+5\%)^2=110.25万円\)と書くことができます。単利の場合と異なり、預入期間の2年間が累乗の指数に登場しました。この期間が累乗の指数に現れるという点が非常に重要です!

先ほどと同様に複利で20年間にわたり、銀行に預けると、最終的には、資産は\(100万円×(1+5\%)^{20}=265万円\)となります。複利運用の場合は、20年間預けると、元本の100万円が2.65倍の265万円になりました。単利運用の場合と比べて、65万円も増やすことに成功しました!この間の資産の増え方は下の表のようになります。

預入期間利息利息の合計元利合計
1年5万円5万円105万円
2年5万円10万円110万円
3年6万円16万円116万円
4年6万円22万円122万円
5年6万円28万円128万円
6年6万円34万円134万円
7年7万円41万円141万円
8年7万円48万円148万円
9年7万円55万円155万円
10年8万円63万円163万円
11年8万円71万円171万円
12年9万円80万円180万円
13年9万円89万円189万円
14年9万円98万円198万円
15年10万円108万円208万円
16年10万円118万円218万円
17年11万円129万円229万円
18年11万円141万円241万円
19年12万円153万円253万円
20年13万円165万円265万円
元本100万円を金利5%で複利運用した場合

毎年、銀行に預け入れる金額は元利合計なので、年々増えることになります。そのため、もらえる利息も少しずつ増えてきます。だから、元本が一定であった単利の場合と比べて、資産が増えるわけですね。

最後に、以上の話を少しだけ一般化しておきましょう。

元本\(A\)を金利\(r\%\)で複利で\(n\)年間銀行に預けた場合、\(n\)年後の資産は
$$A(1+r\%)^n$$
となります。

単利vs複利(グラフ編)

これまで見てきた単利と複利の場合の資産推移をグラフにすると以下のようになります。灰色が単利運用の場合の資産、紺色が単利と比べた場合の複利運用の資産増加分を表します。すなわち、灰色と紺色の合計が複利運用の場合の資産となります。

金利5%で20年間預金した場合の資産

グラフから読み取れることは、以下の通りです。

1.1年目の結果は単利と複利で同一
2.単利は直線的に、複利は曲線的に資産が増加する
3.預入期間が長くなるほど、複利の効果(複利-単利)が大きくなる

真ん中の2.については、少しわかり辛いかと思いますので、金利を5%から10%に変更して、再度グラフを書いてみました。

金利10%で20年間預金した場合の資産

先ほどのグラフよりも、曲線的に資産が増えていることがわかります。また、2つのグラフを比較すると、明らかに金利が大きい方が複利の効果(複利-単利)が大きいので、

4.金利が大きいほど、複利の効果(複利-単利)が大きくなる

ということも言えそうですね。

さきほど、単利は直線的に、複利は曲線的に資産が増加する、と書きましたが、より正確には、単利は一次関数的に、複利は指数関数的に資産が増加する、と表現できます。少し、数式を用いてみていきましょう。

単利vs複利(数式編)

元本\(A\)を金利\(r\%\)で単利で\(n\)年間銀行に預けた場合、\(n\)年後の資産は、単利だと、\(A(1+nr\%)\)に、複利だと、\(A(1+r\%)^n\)になることは確認済みです。簡単のため、\(A=1\)とすると、\(n\)に伴い、資産は下表の通りに推移します。

預入期間\(n\)単利運用時の資産複利運用時の資産
1年\(1+r\%\)\(1+r\%\)
2年\(1+2r\%\)\((1+r\%)^2=1+2r\%+(r\%)^2\)
3年\(1+3r\%\)\((1+r\%)^3=1+3r\%+3(r\%)^2+(r\%)^3\)
4年\(1+4r\%\)\((1+r\%)^4=1+4r\%+6(r\%)^2+4(r\%)^3+(r\%)^4\)
\(n\)年\(1+nr\%\)\((1+r\%)^n=1+nr\%+(r\%)^2以上の項\)
金利r%で単利・複利運用した場合

初めに、単利:\(1+r\%×n\)について詳しくみます。中学校で一次関数:\(y=ax+b\)であったことを思い起こすと、単利の結果は、\(a=r\%\)、\(b=1\)である\(x=n\)の一次関数であることがわかります。\(a\)には傾き、\(b\)には切片という名前がついており、一次関数のグラフは直線でした。したがって、単利のグラフは、傾きが\(r\%\)、切片が\(1\)の直線となります。実際、先ほど単利のグラフが直線であることを確認しましたね。
今、\(1+r\%×n\)について、\(r\%\)を定数、\(n\)を変数だとして捉えていますが、逆に、\(n\)を定数、\(r\%\)を変数としてみることもできます。この場合は、単利:\(1+r\% ×n\)は、傾きが\(n\)、切片が\(1\)である\(x=r\%\)の一次関数と解釈できます。今後は、\(n\)を定数、\(r\%\)を変数であるとみることにします。

いよいよ、より複雑な複利:\((1+r\%)^n\)についてです。あえて展開してみると興味深いことがわかります。それぞれの\(n\)について、初めの2項は単利の結果と完全に一致するのです!すなわち、

$$(1+r\%)^n=1+nr\%+(r\%)^2以上の項の和$$

が成り立ちます。これを日本語で書くと

$$複利=単利+(r\%)^2以上の項の和$$

となるので、実は、

$$複利の効果=複利-単利=(r\%)^2以上の項の和$$

であったということがわかります。

金利\(r\%\)が小さい場合は、\((r\%)^2\)以上の項はさらに小さくなるので、複利の効果は小さいと言えます。特に、\((r\%)^2\)以上の項を完全に無視することを一次近似といいます。すなわち、一次近似を使った場合、複利の効果は完全にゼロとなります。

なお、一次近似は物理学や化学等の自然科学の分野で頻繁に用いられるテクニックです。高次の項の影響は小さい場合に有効で、自然現象を本質的に理解する上ではなくてはならないものです。筆者も専門が理論物理学だったため、一次近似を頻繁に使っていました。
しかし、金融業界に就職した後は、お金を扱うためか、近似すること自体が少なくなりました。学生時代に、捨象し無視してきた項が、複利の効果そのものであったことを知った際には驚きを禁じえませんでした。

(参考)満期を迎えた定期預金の取り扱い

これまでは、あくまでも理論的にずっと同じ金利で銀行に預けていた場合を考えてきました。実際には、銀行預金にもいつでもお金を引き出せる(がその分金利が低い)普通預金と決まった期間は引き出せない(がその分金利が高い)定期預金が存在します。前者の普通預金については、預けておくと残高に応じて利息がもらえるという商品です。定期預金と比べて、わかりやすいと思いますので、これ以上の説明はここでは割愛します。
ここでは、後者の定期預金について、特に満期を迎える場合、その後どのような取り扱いとなるのかについて、まとめておきました。本筋とは少し離れるものの、やや複雑な用語を解説しましたので、ご確認頂けると幸いです。

定期預金が満期を迎える場合は、単利・複利によらず、①満期自動解約、②元金自動継続、③元利自動継続、の3種類の取り扱いとなることが一般的です。解約する場合は、普通預金口座にお金が移されます。また、継続する場合は、元金のみを引き続き定期預金口座に入れるか、これまでの利息まで含めて定期預金するか、について、選択する必要があります。

以下の表に、本ブログで扱った設例である、元金100万円を金利5%で20年間、単利または複利で預金した場合の取り扱いをまとめましたので、ご確認ください。

満期自動解約元金自動継続元利自動継続
単利満期日に元利合計200万円が普通口座に移される・満期日に利息100万円が普通口座に移される。
・元金100万円を引き続き預入
元利合計200万円を預入
複利満期日に元利合計265万円が普通口座に移される・満期日に利息165万円が普通口座に移される。
・元金100万円を引き続き預入
元利合計265万円を引き続き引き続き預入
元金100万円を金利5%で20年間、単利または複利で預金した場合の取り扱い

ただし、以下の2点について、ご留意ください。

1.現実には、利息に対しては税金(20%以上)がかかる
2.自動継続型の場合は、満期時に継続するたびに、継続時点の金利が適用される

まとめ

本記事では、単利と複利(銀行にお金を預けた場合にどのように利息を受け取れるか)について紹介させて頂きました。重要な点は、以下の4点です。

1.元本だけを預ける方法を単利、元利合計(元本+利息)を預ける方法を複利と言う
2.1年しか預けないのであれば、単利と複利の結果は同じ
3.単利は直線(一次関数)的に、複利は曲線(指数関数)的に資産が増加する
4.預入期間が長くなるほど、金利が大きくなるほど、複利の効果(複利-単利)は大きくなる

最後までお読み頂き、ありがとうございました!次は、「72の法則」をご紹介する予定です。