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COLUMN | 2022.4.12

投資をいつ始めるか 

執筆者
岡野 大
代表取締役 最高経営責任者(CEO)

皆さんこんにちは。sustenキャピタル・マネジメント代表取締役の岡野です。
この記事では、はじめて投資をしてみようと思ったときにぶつかる疑問「いつ始めるのか」について、sustenの考え方をまとめます。 

投資を始めるタイミング  

さて、投資をいつ始めるべきかということを考えたとき、その答えは簡単です。 

投資できる余裕があるなら、それは今です。 

あなたが何歳であるか、どのライフステージにあるかなど、によって投資できる資金面などの余裕の度合いに差は生じますが、基本的には自分の資産運用の仕方に課題を感じたとき、それが投資をはじめるタイミングです(投資できる余裕があるかはこちらの記事をご覧になってくださいね。)。 

いつやるか?今でしょ! 

東進ハイスクールの林修先生が、一躍有名になったこの言葉、これは試験勉強に限らず投資にも通じます。投資を始めるのは、試験勉強と同じく早いに越したことはありません。 

それにしても…あの有名なCMが流れてから、実に10年以上も経つのですね。10年というと、これから先の10年のことを考えると果てしなく遠い先のように感じますが、過去10年を考えればあっという間のことで、本当に光陰矢の如しです。 

もしも「今でしょ!」のCMが流れていたころ(2009年ごろだそうです)に、世界の株式市場に投資をしていれば、その投資価値はいまごろ少なくとも2倍にはなっています。早く投資を始めるのに越したことはありません。 

とはいっても、本当にいざ初めて投資を始めようとなると、誰だって「いまが高値なのではないか」、「もう少し待っていればもっと安く買えるのではないか」と思いますよね。投資を始めた瞬間に資産価値が暴落を始めてしまったら…と考えると、一歩目を踏み出すにはなかなか勇気がいります。 

ただ、このように疑心暗鬼になるのは良いサインだとまずお考え下さい。投資のリターンの源泉は、その不確実性にあります。将来の結果が不確実だからこそリターンがあるのです。ですので、「確実に今が底値だ!」とか「絶対儲かる」と感じる(あるいは他人がそう言う)ときは、リスクがないと言っていますので、どこかが矛盾しています。投資を始めるときに疑問を感じない投資は、何かを見落としている可能性があるので気を付けた方が良いくらいです。 

損しにくいエントリーはできる? 

では将来の結果に対して疑心暗鬼になることは良いとして、投資を開始するのに最適なタイミングを取ることはできるのでしょうか。つまり、損をしにくいエントリーポイントを選ぶことは可能でしょうか。 

基本的には、ほぼできないと考えた方が無難です。投資する際にタイミングを取れないと断言はしませんが、多くのケースにおいてタイミングを取ろうとすることは得策ではありません。投資対象に長期的な期待リターンが存在する(長期的にはプラスになると考えられる)限り、投資を開始するタイミングを遅らせれば遅らせるほど、そのタイミング判断は不利になっていきます。投資をしていない期間に、資産価格は上下を繰り返しながら緩やかに上昇していってしまうと考えられるため、タイミングを取ってうまく投資するためには、相当確かに未来を予見できなければ割に合いません。 

考え方によっては、市場で取引されている資産の価格は、常に「高くもなく安くもない」状態にあるといえます。世界中の投資家、それも常にリターンを追求して資産のあるべき価格(フェアバリュー)を考え続けている市場参加者たちが、可能な限り手に入る情報を精査して検討した結果の値段がついているのです(詳しくはこちらの記事をどうぞ)。すべての市場参加者の「景気が良くなりそう/悪くなりそう」、「物が売れそう/売れなさそう」、「政権交代が実現しそう」、「金融緩和が行われそう」といった様々な思惑が反映された結果が株価であったり資産の価格になっています。投資でタイミングを取って割に合う成果を出すためには、そのような世界中の投資家の考え(コンセンサスといったりします)に対して、かなりの確信度でNOと言えなければなりません。そしてコンセンサスと違う投資判断を的中させ続ける人は、投資のプロ(ファンドマネージャー)でも稀です。 

もし100万円投資する余力のある人が、投資を始める際に取るべき行動はどういったものでしょうか。上記の議論を踏まえれば、なんとなく察しがつくかもしれませんが、思い立ったタイミングで(長期的にリターンを期待できる投資対象に)100万円を投資することが、経済的には最適です。市場の価格や相場環境を過度に気にする必要はありません。よほど将来に対して確信度の高い見通しを持っていたり、コンセンサスに対して明確に反対する意見を持っていたりする場合は、タイミングを計って投資開始を先延ばしにする価値がありますが、そうでなければすぐに全額投資に回すことが統計的には一番という結論になります。 

心理的な怖さを低減する投資の始め方  

ただ、頭でわかってはいても、それでも初日にいきなり全部投資することが怖いのが普通です。そもそも「統計的に最適」というのは、想定される1番いい結果から1番悪い結果まで押しなべて評価した結果、最適であるだけであって、1番悪い結果を引かないことを保証するものではありません。当然、投資開始したタイミングによっては直後に暴落してしまう可能性はあるのです。そういった怖さを感じるときは、100万円を数回に分けて投資するのも良いでしょう。いわゆる「高値つかみ」を避けたいのであれば、100万円を初日にいきなり投資するのではなく、たとえば20万円ずつ2週間に1回投資していくと、1番悪い結果を引くことはほぼなくなります(1番良い結果もギブアップすることになりますが)。 

このとき注意すべきは、あまりにも多い回数に分割したり、金額を少額にわけたりすることは避けた方が良いという点です。投資対象に長期的なリターンが期待できるならば、投資実行が遅れれば遅れるほど、不利になっていきます。1番悪い結果を引かないことに固執しすぎると、平均的なリターンも下落してしまうことになるのです。少しでも投資のタイミングを刻むならば、平均的な期待リターンは下落します。刻み方が数回であったり、短期間であればその下落幅は無視できる水準ですが、あまりに多かったり長期間にわたると、その下落幅は無視できなくなります。 

投資の分割と積立投資の違い 

「あれ?積立投資って国から推奨されてなかったっけ?」とお感じになった方もいらっしゃるでしょう。積立投資は、見方によっては投資を無限に刻んでいくようにも見えるので、上の結論とは相入れないようにも感じます。 

結論を言えば、積立投資は、本来、投資を刻むためのものではありません。投資余力を持っている人、たとえば100万円投資できる余裕のある人に対して、毎月3万円を積立投資に回して33か月にわたって投資を分散させることを薦めるものではないのです。
積立投資の利点は、毎月投資余力が増える人がそれを機械的に投資に回していくことにあります。積立投資はタイミングの分散を狙って行うべきものではなく、毎月給与や収入がある人が、放っておくと投資余力だけが膨らんでいき、家計の資産運用における投資部分が薄まってしまうのを避けるため、定期的な投資を推奨しているものと考えています。その観点に立てば、理想的な状態は、投資余力が増えればその都度それに応じて投資金額を増額し、投資余力が減ればその都度それに応じて投資金額を減額することです(積立投資に関してはかなり誤った解説がなされていたり、誤解されている部分も多いため、またどこかで記事にする予定です。”ドルコスト平均法”には分散効果もなければ経済的効果もありません。) 。

まとめ 

と、ここまでさんざん偉そうなことを書いてきましたが、私自身は実際にはタイミングを取ることが好きな投資家です。投資をするのにタイミングを取ることは、ある意味ロマンを感じます。市場参加者の平均よりも、あるべき価格(フェアバリュー)を正しく測ることで、平均的に期待できるリターン以上のことを追求し、それを実現できたときのうれしさは余りあるものです。 

ただそれでも、やはりタイミングを取っていいなと思えるのは、例えば株式投資であればその銘柄についてわからないことはないくらい調べ上げ、市場の投資家が何を考えてその銘柄に投資をしているか(あるいはなぜ買われていないかということ)を理解し、予見できる将来に市場の投資家の考えとは別のことが起こりうる確信が持てるときだけです。これらの条件をすべて満たさずにタイミングを取っていいことはありません。わからないときは、まず市場参加者の集合知であるコンセンサスに乗っておくのが吉です。長期的にリターンが期待できる投資対象であれば、短期の上げ下げに一喜一憂するのではなく、長期的にリターンを獲得していく方針で考えることをお薦めします。 

まとめます。 

1.投資を始めるのは、早いに越したことはない。
2.損をしにくいタイミングを選ぶのは、実際にはかなり難しい。
3.高値つかみを恐れてあまりに多くの回数に刻んだり、長期間にわたって投資を遅らせることは不利。
4.長期的にリターンが期待できる投資対象に、長期で投資することが大切。

執筆者
岡野 大
代表取締役 最高経営責任者(CEO)

2012年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。戦略株式運用部(ヘッジファンドチーム)にて数百億円規模の株式、デリバティブ、為替等の投資判断を行った。ポートフォリオ・マネージャーとして海外の機関投資家のために運用を行ってきた一方で、日本の個人投資家のために品質の高いサービスを提供したいと思い続け、2019年7月株式会社sustenキャピタル・マネジメントを創業、代表取締役CEOに就任。東京大学大学院工学系研究科修了(修士)

2012年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。戦略株式運用部(ヘッジファンドチーム)にて数百億円規模の株式、デリバティブ、為替等の投資判断を行った。ポートフォリオ・マネージャーとして海外の機関投資家のために運用を行ってきた一方で、日本の個人投資家のために品質の高いサービスを提供したいと思い続け、2019年7月株式会社sustenキャピタル・マネジメントを創業、代表取締役CEOに就任。東京大学大学院工学系研究科修了(修士)