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COLUMN | 2022.2.15

資産運用のすすめ(1)確実な方法

執筆者
岡野 大
代表取締役 最高経営責任者(CEO)

こんにちは、sustenキャピタル・マネジメント代表取締役の岡野です。

突然ですが、みなさんは現在、資産運用に対してどうお考えですか?
私がこの質問を同世代の友人にすると、8割くらいの人は「運用しなきゃと思ってるけど何もやってない、全部貯金してるよ。」と答えてくれます。中には、経験豊富な人たちもいてインデックス投信を毎月買っている人や、投資用不動産を買っているという人もいます。ちょっと前には暗号資産の話題もよく聞きました。

周りの人が資産運用をしていると聞くと、少し焦ってしまいますよね。でも、きっとあなたもすでに資産運用をしているはずです。
このページでは「資産運用のすすめ(1)確実な方法」と題して、SUSTENの考える、そもそも資産運用って何?というところからご紹介していきたいと思います。

資産運用は、モノを買う力を守りつつ育てること

さっそくですが、資産運用を突き詰めて考えるとその本質は、モノを買う力を守りつつ育てることにあると言えます。

完全に自給自足ができる人を除き、ほとんどの人は、生きていくのにモノやサービスを他の人から提供してもらう必要があり、その対価を支払わなければなりません。このモノに対して対価を支払う能力を購買力といいます。

私たちは通常、生きていくのに必要な購買力の原資を獲得するために、自らもまた誰かが必要とするモノやサービスを提供してその対価を受け取ります。ところが、自分が必要とする購買力を、常にその場で働いてまかなうのは、難しいです。私たちは人間ですから、いつでも休まず健康に働けるとは限りません。また、歳を取れば働かずにゆったり過ごしたいとも考えます。
江戸っ子の、「宵越しの銭は持たない生き様」というのはカッコよくはあれ、人生ハードモードです。

少しゆとりをもった暮らしを実現するには、将来のために購買力を保存したり育成する必要がでてきます。そこで資産運用です。他の人にモノやサービスを提供し、その対価を受け取ったとき、それをその瞬間にすべて消費することなく、一部を将来のために蓄えながら育成する、これこそが資産運用です。

なんとなく、「資産運用やってないな」と考えていた方も、「そういう意味だったら・・・」と感じられるでしょうか。
そうです、銀行預金も立派な資産運用のひとつなのです。したがって、ほとんどの方は、すでに資産運用をしているといえます。

資産運用の基本は「確実な方法」と「不確実な方法」の組合せ

さて、購買力の保存と育成を目指す、資産運用の方法を考えてみましょう。資産運用の基本は、守ることを目指す確実な方法と、育てることを目指す不確実な方法の組合せです。

確実な方法の代表格は、銀行預金です。
銀行預金は、銀行が破綻しない限り、預けた資金(元本)が減ることはなく、確実に得られるリターン(利子)も獲得できます。また銀行預金は残高が勝手に減ることはないため、物価が下がり続ける世界においては、確実に購買力を守ることができます。
多くの人は、働いて得られた給与は大抵銀行に預けているのではないでしょうか。絶対に減ることのない器に、たんたんと水をためていくイメージを持っている人も少なくないと思います。

これに対して、不確実な方法といえば、投資です。
株式や債券、不動産といった現金ではない資産に投資をすることで、資産の価値を増やし購買力を育てようとします。ですが、投資の成果は将来にならないとわかりません。うまくいけば購買力は大きくなりますが、場合によっては損をしてしまったり、ひどいときには全く価値を失ってしまうこともあります。投資は、ほぼ例外なく常に不確実な資産運用方法です。

人によっては資産運用に保険を組み合わせる人もいるでしょうが、ここでは、いったん保険は置いておきましょう。健康保険や公的年金といった公的保険制度は所得の再配分の下に成り立つものですし、自助努力というよりは相互扶助と言え、仕組みや制度に依存します(ちなみに意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、公的年金はあくまでも保険制度です!自分が拠出した金額が後に返ってくるような仕組みではありません。)。

確実な銀行預金、苦手なことも

銀行預金は確実な資産運用の代表と書きましたが、確実で手堅い反面、苦手なこともあります。
資産運用は突き詰めれば、モノを買う力(購買力)を守って育てることだと書きました。この見方をすれば、銀行預金は自らの購買力を銀行に預けておくこととも考えられます。

少し具体的に考えてみましょう。
購買力というのは、なかなか指標化するのが難しいですが、たとえば銀行に100万円のお金を預けている人は、銀行にiPhone(13万円)を少なくとも7台買える購買力を預けているとも言えます。別の言い方をすればビッグマック(390円)を2,500個ちょっと買える、あるいは東京-新大阪間をのぞみ(片道14,720円)でほぼ34回往復できる購買力を預けているとも言えます。

ここまで書くと、銀行預金の苦手な面にお気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。
銀行預金は日本円を預けるという観点では元本が保証される確実な資産運用ですが、購買力を預けるという観点では(購買力の)元本が保証されているわけではないのです。

10年前に銀行に100万円を預けていた人は、その時点のiPhoneの価格(2012年当時のiPhone=1台 約5万円)で考えれば、「20 iPhone」(100万円)の残高があったのに、現時点では、直近(2022年)のiPhoneの価格で考えると、口座の残高が「7.7 iPhone」(100万円)にまで減ってしまったのです(想像してみてください、銀行預金の口座残高が、円という単位でなければ日に日に減っていっている可能性があるのです。)。

さすがにiPhoneを例に出すのは不公平ですね。そもそも当時と現在のiPhoneの性能が段違いですし、海外で生産されているものなので為替の影響も受けます。実際には、日本の物価は総じて上がらない状態が続いてきたため、iPhoneのように値段が数倍にもなってしまうことは珍しいことです。しかし、今後も物価が上がらない状況が続くとは限りません。実際、世界各国ではインフレ(モノやサービスの値段が上昇し、現金の価値が相対的に下落すること)がずっと続いています。

iPhoneのように海外で生産されているものの値段が上昇するのはわかりやすい例ですが、たとえば国内で生産されている農作物ひとつとっても世界の物価の影響を免れることはできません。安価で美味しい農作物を生産するのに不可欠な化学肥料の原料を、日本はほぼ全て輸入に頼っています*し、農業機械を動かすためには輸入燃料も必要です。
いくら日本が低成長だからといって、将来人口が減少するからといって、それがインフレを招かないという保証はできません。たまたまこれまでの銀行預金は購買力を守ることができていましたが、これからもそうだとは言い切れないのです。

*「肥料をめぐる情勢」:農林水産省(生産局技術普及課生産資材対策室、R3年4月) 

将来の見通しと、いまの資産運用

冒頭の私の友人「運用しなきゃと思ってるけど何もやってない、全部貯金してるよ。」という例に戻りましょう。彼は何もしていないわけではありませんね。すでに確実な方法、銀行預金を用いて資産運用をしていることは明白です。

ただ、ここで考えたいのは彼がいま行っている資産運用が、果たして彼の意図した通りなのか、という視点です。

資産運用には正解はありません。こうしなきゃいけない、ああしたら大丈夫、といったものはありません。ですが、ひとつ言えるとすれば、自分の意図あるいは見通しの通りの資産運用にしていた方が、後悔する可能性が低く理想的だということです。

資産のすべてを銀行預金に預けることは、次の見通しを持っている人に適しています。

✓ 将来、モノの値段が上がることはない。

✓ 将来、日本円の価値が国際的に落ちることはなく、輸入物価はあがらない。

✓ 株式や債券に投資しても、期待できるリターンはない。

こうした見通しに強い確信を持っていれば、銀行預金100%の資産運用はまさに理想的な状態です。あえて不確実な投資をする必要はありません。先にも書いた通り、物価が上がらないのであれば、銀行預金は購買力を保存するのにもっとも確実で安全な方法だからです。

しかし、仮に少しでもこれらの見通しに疑問があれば、自分の考えに対していまの資産運用の状態がマッチしているとはいえません。
物価が上がるかもしれないと考えるならば、それに対応できるように備えた方がいいですし、円の価値が国際的に落ちていく可能性を考えているならば、海外の資産に保有をした方がいいかもしれません。

資産運用を考える際に重要なのは、自分の資産運用の状態が自分の考え方に沿っているかを考えることです。

とはいえ、将来物価が上がるかどうか、円の価値がどうなるか、はたまた投資のリターンなんて考えたこともないのが普通ですし、予測できるとも思えないですよね。そもそもテレビや新聞に登場する専門家でさえ、これらの見通しを完璧に当てられる人はいません。
何を隠しましょう、この文章を執筆している私自身、将来物価が上がるのかどうか、円の価値がどうなるか、見通しを持ってはいますが確実に断言できることはありません。

でもご安心ください。

未来を完全に予測できなくたっていいのです。見通しを持てなくたっていいのです。わからないなら、わからないなりの方法があります。むしろ完全に予測すること、断言すること、特定の方法に依存した資産運用をすることには危険性を伴います。
将来物価が上がることはない、円の価値が落ちることはない、と断言し銀行預金100%の資産運用をすることは、その見通しが外れたときには相応の覚悟が必要です。

未来は不確実だからこそ、不確実な投資を利用することで、購買力を守り育てる方法があります。
分からないものは分からないとして、特定の見通しに一辺倒になることを避け、確実な方法(銀行預金)と不確実な方法(投資)のバランスを取ることが望ましいです。

投資には、過去100年以上にわたって、理論が研究されてきた歴史があります。様々な学者が合理的な資産運用の方法を考えてきました。
このサイトでは、そのほんの一部を読者の皆様にわかりやすくご紹介できればと考えています。

次は、「資産運用のすすめ(2)不確実な方法」と題して、投資に対する考え方をご紹介する予定です。

執筆者
岡野 大
代表取締役 最高経営責任者(CEO)

2012年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。戦略株式運用部(ヘッジファンドチーム)にて数百億円規模の株式、デリバティブ、為替等の投資判断を行った。ポートフォリオ・マネージャーとして海外の機関投資家のために運用を行ってきた一方で、日本の個人投資家のために品質の高いサービスを提供したいと思い続け、2019年7月株式会社sustenキャピタル・マネジメントを創業、代表取締役CEOに就任。東京大学大学院工学系研究科修了(修士)

2012年ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント入社。戦略株式運用部(ヘッジファンドチーム)にて数百億円規模の株式、デリバティブ、為替等の投資判断を行った。ポートフォリオ・マネージャーとして海外の機関投資家のために運用を行ってきた一方で、日本の個人投資家のために品質の高いサービスを提供したいと思い続け、2019年7月株式会社sustenキャピタル・マネジメントを創業、代表取締役CEOに就任。東京大学大学院工学系研究科修了(修士)